【37】難病患者を地域で支える

日時:2015年2月24日(火) 19時〜21時

会場:亀田医療大学 第一講義室

幹事:亀田ファミリークリニック館山 濱井彩乃 、花の谷クリニック 伊藤真美

テーマ:「難病患者を地域で支える」

内容:今回は「難病」をテーマとし、ALS(筋萎縮性側索硬化症)の患者さんの事例を取り上げました。
亀田総合病院でALSと診断され、その後亀田ファミリークリニック館山で訪問診療を行い、終末期は花の谷クリニックに入院し看取りとなった患者さんです。
発症・診断から看取りまで、様々なフェーズで多くの職種や施設の人が関わり、悩み、また色々な思いを持つこととなった事例であったと思います。

初めに事例の経過をご紹介し、次に各フェーズで関わった医師・看護師・ケアマネージャ・保健師に登壇していただき、患者さんとの関わりの中でどんなことが起き、何を感じたのか。どんな課題があり、どんな可能性があるのか。各職種それぞれの視点から語っていただきました。
その後、小グループでのディスカッション、全体でのディスカッションで意見交換をする中で、参加者の皆さんが考えを深め、今後に向けたアクションに繋げていける会になればと思っております。
幹事から終了後の一言:6名のプレゼンターの皆様からは、それぞれの関わりの中でのエピソードや想いなどを、それぞれの視点からお話しいただきました。

また、グループディスカッションでは、5-7名ずつのテーブルで、非常に盛り上がった議論が行われました。まだまだ時間が足りないというご意見もいただいたくらいでした。
全体討論でも有意義なご意見をいくつもいただくことができました。どのような会になるかドキドキしていましたが、まずはほっとしております。
この安房地域で、本当にたくさんの熱意ある方々と一緒にやっているのだな、と改めて感じることができました。
これも、患者さまが私たちに下さった場なのだ、とも感じられました。

参加者数(職種別)、参加施設数:19施設85名

 

以下に、皆様からいただいたアンケート結果を取りまとめましたので、ご参照ください。
今後の例会にもつなげていけると良いなと思います。

《企画への感想・ご意見》
<企画について>
・1つの事例を多職種で振り返る企画が非常に良かった
・たくさんの人が関わって支援していたことがわかった
・たくさんの職種が、様々な想いや専門性を持って接していたことを感じることができた
・自分の介入が次につながっていることを実感できた
・発病・告知の段階の話を聞けたのが、最期の時しかみていない者にとって勉強になった
・難病患者を支えるネットワークがみられ、今後に役立てたいと思った
・患者、家族のケアに多職種が関わる意義と困難さについて勉強になった
・誰が悪い、どの機関が悪いという雰囲気がなく、保証された場で有意義な勉強ができた
・本人に関わった人が多いグループだった。こういう会でのフィードバックを行うことで、地域の力が引き上がっていく気がする
・今回初めて参加したが、次回も参加させていただきたい
・今後も違う疾患で、同様な試みができると良い(認知症、肺炎、骨折などで複数施設で1人の患者さんをみるようなケースで)
・多様な職種が参加していることは貴重
・全体の時間がもう少し欲しかった
・次の方に生かせるように・・・というところまで話をしたかった
・話の要点をまとめて、事前配布して欲しい
・講義よりも、参加者同士の交流ができた方が有意義かと思う

<事例について>
・患者さんが担当変更に過敏に反応していたことが印象に残った
・病院の機能分化の流れで、各Phaseで小さな別れや喪失体験が出てくるのは避けられない
・1人長く関わってくれる人がいたら嬉しいと感じると思った。その意味で、家庭医や保健師は心強い存在だと感じた
・コミュニケーション力を問われる症例だったと感じた
・人の「自尊心」について深く考える機会になった
・現在関わっているALS患者さんにも活かしていきたいと思う
・まわりの人、スタッフの心のケアが大切だと思った
・限られた時をどう過ごすか、日々考えていきたい
・少し楽になった、難しいと思った
・訪問看護師としての関わり、役割を深く考えさせられた。その人に寄り添い共に悩み考える、ということが本当に大切なことだと感じた
・患者さん、家族の発する一言一言が、たとえ支援者にとって辛い言葉であっても「ギフト」だと思う

<ディスカッションについて>
・ディスカッションで色々な意見を聞けて勉強になった
・ディスカッションはとても盛り上がった
・発表だけでなく、ディスカッションで発散する機会があって良かった
・ディスカッション時間はちょうどよかった
・ディスカッションは散漫になってしまうので、ファシリテーターを決めたほうが良い
・小グループディスカッションはもう少し時間が欲しかった
・ディスカッションは緊張してうまく話せなかったが、勉強になった
・グループが同じ職場の人が4/7人だったので、もう少しばらけても良かった
《今後の安房医療ねっとの例会で扱って欲しいテーマ、興味のある内容》
・リンパマッサージ
・安房地域での救急の連携について
・倫理的事項について
・尊厳死
・緩和ケア
・あまり知られていない身近な病気
・認知症の介護者をどう地域で支えるか?
・メンタル疾患
・今回のように、複数施設で関わった患者さんの振り返り・ディスカッションの企画
・訪問サービスのマップ作りを職種毎にやる
・地域リソースの見える化(看護、介護だけでなく、特別なサポート等)
・各機関・職種の良い所、強み弱み、葛藤などについて

 

 

【36】「もっともっと知りたい! 在宅療養を支える人々」

はじめに:

安房医療ねっとは36回を数えます。これまでに在宅療養についてはさまざまな職種の方からのお話がありました。しかし、まだ紹介されていない介護、生活を支える職種があります。今回は、まだあまり知られていない職種にスポットをあててみようと思いました。歯科については以前の定例会でお話がありましたが、一人で診療を続ける歯科医師の先生にその苦労についてお話をいただきました。薬剤師の在宅での役割はこれから期待されることが多いのですが、定例会では未知の世界です。介護ショップ、生活支援は医療保険、介護保険の届かない、しかし生活に重要な職種です。そんな方々に現状と、これからについてお話をいただきました。

日時:2014年11月18日(火曜) 19:00~21:00

会場:安房福祉専門学校 小池ホール (〒294-0007 館山市腰越801-1)

幹事:医療法人社団 桂 七浦診療所 (世話人 田中 かつら)

テーマ:「もっともっと知りたい! 在宅療養を支える人々」

内容:

訪問歯科医師  山本歯科医院 山本 信也先生
訪問診療へ取り組む先生の思いと、その診療の様子をお話しいただきました。一人歯科医師で通常の診療しながら、昼の限られた時間に往診で診療を続けていらっしゃいます。往診できる患者さんが限られていること、機材も少ないため診療に限界はあると。一人の患者さんに多くの方がかかわる現在の医療、介護の現状では、多職種との連携、情報の共有が必要で、またその情報が素早くやりとりする必要は、歯科も同様であるとのことでした。
これから在宅での歯科診療の必要性は多くなります。また誤嚥性肺炎の予防についても口腔ケアは重要です。往診ができる歯科医師の人材育成も今後の課題だそうです。訪問歯科医師の必要性については、この会からももっと声を上げてもよいのではと感じました。
訪問薬剤師   ひまわり薬局 安田 典弘先生
在宅療養における薬剤師の仕事とは…。知っていそうで、実はあまりまだよく知らないのが現状です。在宅では薬剤師さんはどんなことをするのか?その前に、薬剤師さんの仕事はどのような内容か?基本的なところからお話しいただきました。薬剤師からみた在宅療養がどのようなものかを知る、そして多職種と情報を共有する。その重要性について理解することができました。薬は飲むものと思い、医師は処方しますが、飲めないのはなぜか?そこから見えるその方の能力、介護力、生活力など、薬剤師さんからの情報をどう活用するかは、これから薬剤師さんを認識することから始まるのだと思いました。
介護ショップ  ふきのとう  青木 祐介さん
介護ショップとのお付き合いはケアマネージャーさんを介してがほとんどですが、実はこの仕事は奥が深い。在宅で生活するために、どの福祉用具が本人に合っているのか?理学療法士の資格をもつ青木さんが展開する介護ショップからみた在宅療養とは。私たちが情報提供をしていくことで、さらによりよい生活がおくれると思い、その連携の仕方を探りたいと思い、お話をいただきました。
福祉用具専門相談員とはどのような資格か?適切な福祉用具を選択するために必要な情報は?担当者会議にも出席されて、その方のよりよい在宅療養を支えていることを知りました。福祉用具専門相談員が一企業の職員に留まらない活躍が、この地域にももっと必要であると感じました。

生活支援サービス  まきの実   鈴木 美香さん
来年度から介護保険の仕組みがまた変わります。在宅での生活を維持するために必要なサービスが限られる可能性もあります。在宅療養をサポートする生活支援サービスについて赤門ヘルスケアグループから立ち上げた株式会社まきの実より通所相談員、管理者である鈴木さんにお話しいただきました。生活に密着した活動について、そして医療や介護ではできないことはどんなことかを知るよい機会でした。
介護保険の認定されていない方々は、私たちの支援が届かないところにいます。買い物、草刈り、通院などなど、今日から必要な生活のひとつひとつをケアしていくサービス。お金がかかることではありますが、低料金で細かい要望に応えていく内容は高齢者の多いこの地域ではどれも必要です。企業としてはまだまだご苦労はあるようですが、これから成長が期待される分野だと思います。まずこんなサービスがあることを認識してもらい、生活に密着して発展してほしいなと思いました。

幹事から終了後の一言:

インフルエンザが流行し始まった11月中旬でした。それにもかかわらずたくさんの方にお集まりいただきました。ありがとうございました。そして、新しい会場をお貸しいただいた安房福祉専門学校の方々に感謝申し上げます。

ここ数回の定例会とはすこし形を変え、多職種の「多」に焦点を当てて、まだあまり知られていない仲間たちの活躍をご紹介できたと思います。いかがだったでしょうか?会が終わってから、発表された方々から、その後の反響が大きかったと報告いただきました。幹事の私が知りたかった内容でもあり、私がもっとも勉強させていただきました。これからの医療、介護、生活に役立つ知識になることを願っています。

参加者数(職種別)、参加施設数:合計99人(医師 10人、歯科医師2人、看護師13人、薬剤師1人、鍼灸師 1人、歯科技工士 2人、歯科衛生士 2人、保健師 1人、介護福祉士 1人、介護士1人、福祉用具販売専門員 2人、生活支援員3人、ヘルパー 12人、ケアマネ 11人、SW 20人、コーディネーター 1人、管理者 6人、総務 1人、医療事務 7人、医薬品関係 1人)

25施設

安房医療ねっと 在宅療養における薬剤師の仕事「ひまわり薬局」PDF

【35】自宅で心不全患者を看守るために

日時:2014年9月16日(火)19時~21時

会場:鴨川市ふれあいセンター 2階ホール

幹事:亀田総合病院 総合相談室

テーマ:「自宅で心不全患者を看守るために」

内容:

(1)亀田心不全チームのご紹介         亀田総合病院 循環器内科部長 鈴木誠氏
(2)心不全の方のお食事ワンポイントアドバイス 亀田総合病院 栄養士 後藤友香氏
(3)自宅で健やかに過ごすためのセルフケア   亀田総合病院師長 飯塚裕美氏
亀田訪問看護ステーション所長 佐々木真弓氏
(4)心不全の緩和ケアって何?         亀田総合病院 緩和ケア科医師 坂祥平氏
(5)ご質問など・意見交換
幹事から終了後の一言:

高齢化の進む安房地域では、心不全の患者が今後も増える事が予測されます。また、心不全は、再入院率も医療費も高く、社会問題となっています。そこで、亀田総合病院の循環器内科では多職種による「心不全チーム」を立ち上げ、昨年から活動してきました。そのような中、「心不全患者様の為にも、地域の医療・介護・福祉の方に、心不全について学べる機会を作りたい」と考え、安房医療ねっとにて心不全チームの活動を紹介させて頂きました。多くのご意見とご質問を頂き、ありがとうございました。
「病院と地域資源との窓口がないこと」「退院後の様子が病院から見えないこと」などが話題になり、「情報共有の仕方」が課題となった事を10/20の心不全チーム会議で振り返り、課題解決に向けて相談しています。今後も、心不全チームとして様々な活動を進めていきたいと考えています。

参加者数(職種別)、参加施設数:参加者 計94名   参加施設数 23施設​

※資料 亀田総合病院 心不全日誌 2015/3/4 追加

亀田総合病院心不全ノート毎日の記録日誌0829

【34】東洋医学とのかかわりの模索(鍼灸マッサージを中心に)

日時:6/10(火曜)19時~21時

会場:鴨川市ふれあいセンター 2Fホール

幹事:鴨川市立国保病院

テーマ:東洋医学とのかかわりの模索(鍼灸マッサージを中心に)

内容:

プログラム
(1)東洋医学の初歩の初歩  (鴨川市立国保病院 関)
東洋医学に触れたことのない方にもわかりやすいよう、
専門用語を極力使わず、東洋医学で用いられる手技をご紹介しました。
鍼灸マッサージに親しみをもって頂けたらと思います。

(2)開業鍼灸院の立場から  (鍼灸マッサージ師 山崎氏)
山崎氏は、鴨川の長狭地区で鍼灸院を開かれています。
東洋医学の源流に触れるため中国・アジアの国々を巡られた経験、
三宅島や当地での活動の軌跡、当地での利用者傾向や取り組みについて
お話しいただきました。
東洋医学としてだけでなく、地域医療・多職種連携についても考える機会となる内容でした。

(3)緩和ケア病棟にも関わる立場から (鍼灸マッサージ師 才村氏)
才村氏は、花の谷クリニックで鍼灸師として緩和ケアに携わっています。
人の生と死について悩まれたのを契機に当地の緩和ケア病棟との接点をもたれたこと、
体力低下の進んでいる利用者にどう関わるかを検討されたことなどを
お話しいただきました。
死生観・末期患者へのアプローチについて、真剣な取り組みをされていることがわかりました。

(4)他地域も含めた西洋医療・鍼灸治療の関わり (東京有明医療大学 高梨知揚先生)
高梨氏は、鍼灸師として東京の大学で教育に携わりつつ、花の谷クリニックにもフィールドワークとして
かかわられています。
鍼灸師として活動し始めたころの、多職種連携の必要性を痛感した事例の紹介を中心に
東洋医学と医療機関の連携の必要性と実情について、お話しいただきました。
連携のとりやすい関係を作っておくこと、どんなことをしているかを知っておいてもらうことが
大切とのことでした。

(5)関わる医療者から  (花の谷クリニック 伊藤真美先生)
伊藤先生からは、以前にインドの伝統医学であるアーユルヴェーダーについて留学された経験を
お話しいただきました。
東洋医学というと中国のものを想像しがちですが、インドにも歴史の深い医学が根付いています。
世界や歴史にも広い視野が必要と感じさせるお話しでした。

参加者数(職種別)、参加施設数:22施設、85名

医師 12、歯科医 2、看護師 6、歯科衛生士 4、歯科技工士 2、リハビリ 5、鍼灸師 4、介護・SW 35、行政 4、教育 4、事務 5、その他 2

【33】戦争と医療

日時:4月15日(火)19時から21時

会場:亀田医療大学 学生会館4階ミズキホール

幹事:花の谷クリニック 伊藤真美

テーマ:戦争と医療

内容:

1931年(昭和6年)の満州事変から1945年(昭和20年)第二次世界大戦の
終結に至るまでの15年戦争といわれる間、日本の医療者はどのように戦争に
関わってきたのでしょうか。日本の看護界を牽引する川嶋みどり先生が、
戦争を知らない私たち医療職、介護職、そしてこれからの看護を担う看護学生
たちに向けて語ってくださるお話を伺えることは、「今」という時代に生きる
私たちに、大きな示唆を与えてくれる貴重な機会となる事と思います。
川嶋みどり先生をお迎えしての今回の企画は、亀田医療大学と安房医療ねっと
の共催で、下記のプログラムで構成されています。

 
【講演 1】 13:30〜15:00
「看護の過去・現在・未来」
-今あらためて看護を語る
※ 亀田医療大学全看護学生向け授業の一環ですが、
どなたでも参加できます。

 
【映画上映会】 15:20〜16:20
ナイチンゲール「看護覚え書き」より
「病気は回復過程である」
※ この映画に出演されている川嶋みどり先生とともに、
ナイチンゲールの軌跡をたどり、「看護覚え書」を、今の
時代にあらためて読み解く事の意味を考えたいと思います。
この映画を制作した今泉文子監督みずから上映を担当して、
ご挨拶くださいます。

 
【戦争と医の倫理のパネル展示会】 14:00~21:00
学生会館1階 亀ママキッチンにて
※ 「戦争と医の倫理」の検証を進める会で作成された貴重な資料を
展示します。「医の倫理」 を問い、問われる私たちは、まず過去の
歴史を知る事から、考え始めなければならないのではないでしょうか。

 
【講演 2】 19:00~21:00
テーマ:戦争と医療
※ 第33回 安房医療ねっとの例会となります。
今回は、この例会も市民参加も可能としました。
参加費: 講演1、映画、パネル展示会は無料
講演 2のみ 1000円 (学生は無料)

幹事から終了後の一言:

参加者数(職種別)、参加施設数:

川嶋みどり先生講演会

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